低コストの可視光応答型光触媒を開発

垰田 博史 氏
サステナブルマテリアル研究部門 主任研究員

可視光応答型光触媒の開発

脱臭や抗菌効果に優れ、繊維やプラスティック、紙などに使用でき、色が黄ばんで見えず、汎用性の高い高性能かつ実用的な可視光応答型光触媒(新型光触媒)を開発しました。

安価で安全な酸化チタン、アパタイト、鉄を効果的に組み合わせたもので、光触媒スリラー1kg当たり数千円レベルという低価格で供給できる見通しです。

可視光応答型光触媒の性能と応用

新型光触媒は、揮発性有機化合物(VOC)の1種であるアセトアルデヒドの分解性能が、これまでの光触媒に比べて、蛍光灯の光に対して5.9倍向上し、可視光だけではなく、紫外線による分解性能も大きく向上しました。

また、アセトアルデヒドが完全に酸化分解されて二酸化炭素と水になることが確認されました、新型光触媒は表面が光触媒活性をもたないアパタイトで部分的に覆われているため、有機系基材の分解が抑えられ、繊維やプラスティック、紙などにも適用できます。

新型光触媒を樹脂に混ぜ、カーボンアークランプ照射による樹脂の耐久性実験を行った結果、新型光触媒を混ぜた場合は、樹脂の重量減少率は小さく、樹脂劣化が5分の1に抑えられました。

アパタイトは、細菌や悪臭、NOxなどを吸着するため、抗菌や脱臭、大気汚染などに対しても優れた効果が得られます。この新型光触媒をアクリル樹脂バインダーでガラス板に塗布した試料を用いて、JIS試験法に準拠しNOガスを常時流し、浄化効果を調べたところ、紫外線の光照射によりNO濃度が急激に減少して約90%という高い除去率が得られました。そして、光照射を停止すると光触媒の反応が止まり、NOガス濃度が上昇して元の濃度に戻ることも確認できました。

続いて黄色ブドウ球菌に対する新型光触媒の抗菌効果を試験したところ、白色蛍光灯の光照射により黄色ブドウ球菌の菌数が8時間後に10万分の1近くに減少し、この測定値からの計算により抗菌活性値が4.8となりました。抗菌活性値が2.0以上で抗菌効果があると定義されていますので、今回の数値4.8は新型光触媒が優れた抗菌効果を有していることを示しています。

以上のように、可視光で働く光触媒が開発されたことにより、抗菌防カビ、脱臭、大気浄化、水質浄化、防汚などへの応用が今後大きく進展するものと期待されます。

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